イントロダクション
労働集約型から、機械導入による効率的な農業へ。生産者が減少し続ける雑穀栽培の未来を変える、新たな取り組みが始まった。
日本一の雑穀産地・岩手県の中心を担うのは、県北地域の雑穀農家である。しかし、高齢化や担い手不足などにより生産者は年々減少。雑穀栽培を持続可能なものにするため、軽米町では画期的な取り組みが進められている。
農産物概要
地域の雑穀農家と連携しながら、農薬を使わない安心・安全な雑穀を全国に供給
その栄養価の高さから、健康食品として注目を集める雑穀。日本一の生産量を誇る岩手では、夏でも冷涼な県北地方を中心に雑穀栽培が行われてきた。中でも軽米町は「雑穀王国」を掲げ、昭和60年頃から本格的に雑穀の生産振興と消費拡大に向けた取り組みを進めている。この雑穀栽培をけん引しているのが、尾田川農園の代表・尾田川勝雄さんだ。誰もが安心して食べられるよう農薬を使わない栽培にこだわり、平成4年から県北8市町村の雑穀農家と契約を結び、13品目もの雑穀や穀類を栽培。希望する農家には技術指導を行うほか、栽培技術を学べるセミナーも実施し、次世代の担い手育成にも力を注いでいる。軽米町でも平成21年に全国雑穀サミットを開催するなど、雑穀の魅力を発信する取り組みや栽培農家の支援を行っており、町ぐるみで雑穀を盛り上げている。
プロジェクトの取り組み
作業の機械化によって参入しやすい環境を整え、雑穀栽培の可能性を広げていく
これまでの雑穀栽培は、零細農家による手作業が中心で、機械化はほとんど進んでいなかった。しかも無農薬栽培を徹底しているため、 除草作業などは大変な労力が要る。手間と収益性の問題に加え、高齢化の進行とともに栽培農家が激減。それに伴い栽培面積も減少し、需要に応じた生産量を確保できない状況が続いている。こうした中、尾田川さんが挑戦しているのが、雑穀栽培の機械化を通じた地域協業の仕組みづくりだ。いわて農業未来プロジェクトでは、播種・除草・培土作業に使用できるトラクター用アタッチメントの導入を通して、「労働集約型農業からの転換」を支援。これらの機器を自動操舵のトラクターに取り付けることで誰でも簡単に作業できるようになり、新規就農者が参入しやすい環境を整えている。